ダイナソア

X-20 Dyna-Soar

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20,000hit記念絵です〜.

「X-20 Dyna-Soar,1950年代後半に米空軍が計画した…これは有人宇宙機の範疇に入れて良いんでしょうか?」

微妙といえば微妙なところですね.発想の大元は大戦期にオーストリア・ハンガリーのオイゲン・ゼンガーが発想した対蹠地爆撃機"Silbervogel(銀鳥)"なんですが….

「ロケットエンジンで加速して亜軌道飛行を行い,再突入してからは「水切り」の様に高層大気の上をスキップしながら飛行,地球の反対側−つまりアメリカですが−に到達しようというものですね.ゼンガー博士は動力学的滑空と呼んだそうですが」

英語で言えばDynamic Soaringですね.X-20の名前もそこから来てるんですが,この機体はそれを行いません(^^;

「そうなんですか?」

動力学的滑空だと熱負荷を繰り返し受ける事になるので,あんまり具合が宜しくないという事になったそうです.タイタンロケットで高度約100km,速度7.4km/hまで持って行って,慣性で150kmまで上昇,その後は再突入というか,滑空しつつ米国本土に帰還します.

「スペースシャトルと同程度に"飛行機ではない"ですし,宇宙機と言うには…」

周回速度も出さないんですよね.ブースタの強化や機体のアップデートをすれば周回飛行を行う事も有ったかもしれませんが.

「それってスペースシャトル…」

まあシャトルも軍事ミッション行ってるんですけどね.

「機体後半のペイロードベイにカメラを搭載しての写真偵察任務,爆弾を搭載しての攻撃任務など考えられていたようですが,…人工衛星や弾道ミサイルでも良いのでは?」

それです.結局NASAはジェミニとマーキュリーに集中したかったし,空軍はICBMと戦略爆撃機の組み合わせを選択しました.まあそういった冷戦インフラが整う前の仇花,或いはどういうインフラを構築するかという試行錯誤の一つという事なのかな.

「モックアップまでは出来ていたんですけどねえ…」

実機作って飛ばして失敗しておけば,スペースシャトルも産まれなかったかもね(笑).

「…えっと(汗)」

そんな感じで実機が存在しないので色は絵面優先で.デザイン的にはヘンな袖とマントで特異なシルエットを表現してみました.シルエット優先で描いてみたものの,機首(帽子)の処理がどうにもヘンな感じに(;

「黄色いラインがちょっと好きです♪背景はJAXAのフォトアーカイブスを資料にしたんでしたっけ」

軌道上の日の出は描いてみたいネタの一つだったんですよね.もちょっとちゃんと描きたかったかも.ハイライトの処理は結構悦に入ってました.

「背景はまた再チャレンジ,ですね」

あとデスね,何気に絶対領域絵.

「やっ…!」

Ad Astra/Gallery/original/ダイナソア 2004-02-07. comment/fileupdated at:2006-02-04. webmaster:tsugumi shinai